皆さん、こんにちは。
Cafe MARUKUの店主も兼ねてます(笑)桜井鈴茂です。
今日はノンアルコール飲料に含まれる微量(abv 0.5%程度)のアルコールをどう考えればいいのか、ということを、法的な事実と私見を交えつつ記したいと思います。というのも、店で多くのお客様に接している中で、「ノンアルコール飲料」ないし「アルコール=お酒(酒類)」についての誤解や勘違いの類を解かなくてならないことが少なくないのです。
あと、検索したことのある方ならご存知かと思うのですが、ネットには「微アル=abv0.5%」への探究や法律(酒税法)への言及はおざなりに、判で押したように「微アルにもご注意を」「主治医の指示に従ってください」などと記述した、無難な、というか、チキンな(笑)というか、炎上だけはご勘弁という底意が見え見えな、その実ほとんど何も言っていないに等しい、記事が溢れているからです。まあ、このネット/SNS時代にあっては、仕方ないのかもしれないけれど。ただ、一方で「多様性」を謳っておきながら、波風立たないよう腐心するあまり、意見が画一的になるのは本末転倒じゃないですか。だから、本稿では、「主治医や専門家の指示に従ってください」というような、至極まっとうなことはあえて書きません。もちろん、炎上を狙っているわけではありませんが、そのへんはあらかじめご承知おきくださると幸いです。
では、まず、お酒か否か、はどういうふうに決められるのか。
これはいたってシンプルです。酒税法で定められています。「アルコール分1.0%以上のものを酒類と定める」〜これが日本の酒税法です。
他国、主に先進諸国、はどうかというと......AI氏に尋ねたところ、酒類を定める法律というのは案外と複雑で、なんとも絶妙な言い回しがあるようなんですが.....しいて(AI氏の助言をスルーして、笑)、ざっくり言いましょう。アメリカ合衆国は日本よりも厳しくて「0.5%以上」、EU諸国は日本よりも緩くて「1.2%以上」が、(アルコール度数の表示義務がある)酒類と定められ、課税や規制の対象になるようです。
念のため、さらにAI氏に尋ねたところ、フランスやドイツは、EUの法律に基づいてアルコール1.2%以上の飲料に表示義務や酒税を課すけれど、公衆衛生法(フランス)や青年保護法(ドイツ)で「0.5%を超えるもの」を実質的に酒類とみなしている、らしいです。ちなみにですが、お酒に寛容な国として真っ先に挙げられるのはデンマークで、酒類かどうかはEUの法律に基づいて「1.2%以上」だけど、16歳以上になると「6.0%以下」の酒類が店舗で購入できるそうです。そういえば、デンマーク映画「アナザーラウンド」(トマス・ヴィンターベア監督)は、高校生が堂々とビールを飲んでいるシーンから始まりますね。この映画については、以前にレビュー(らしきもの)を書いているので、ご興味のある方はご参照ください。
ということで、ぼくのずさんな性格そのままに(すみません)大まかに言うと、「0.5%」に、酒類=アルコール飲料とみなすか否かの、世界的な線引きがあるようです。どおりで、欧州産のノンアルコールビールのラベルには堂々と「Non-Alcoholic」や「Alcohol-Free」とあるものの、よく見ると「abv 0.5%」、アメリカ合衆国産のそれには「Less than 0.5% abv」(0.5%未満)などと記されているわけです。
さて、ここからがこのブログの本題です。日本の法律だけでなく世界的な線引きでも酒類とはみなされていない「0.5%」=俗に言う「微アル」を飲むと、どうなるのか? 「どうなる」というか、「お酒はいけません」と医師から言われた(いわば、「ドクターストップ」がかかった)方や妊娠されている方は、0.5%すら飲んではいけないのか? そういう方たちは、大手メーカーが製造する完全ノンアル=0.00%のビールテイスト飲料で甘んじなければならないのか?
結論から言ってしまうと、(残念ながら!)正解はありません。ごめんなさい!
ぼくから言えることは、以下のことです。
この世の中には微量のアルコールを含む飲み物や食べ物がたくさんあります。たとえば、ハーゲンダッツのラムレーズン・アイスクリームは「0.7%」と裏ラベルに表示されているし、表示はないけれど、奈良漬にはかなり(一説によると3.5%〜7%)の、キムチや蒸しパンにも微量のアルコールが含まれます。また、調理過程でみりんや料理酒を使う肉じゃがのような煮物やアサリの酒蒸しなどは、たとえ加熱しても微量のアルコールは残ってしまうでしょう。ストレート果汁100%のバナナジュースやりんごジュースだって自然発酵しますから、0.00%だと完全に信じ切ることは、ちょっと難しい気がします。
ここで、いったん迂回します。個体差が明確な体質のことを考慮に入れないわけにはいかないからです。特に欧米人(ヨーロッパ系やアフリカ系、ざっくりですが)とは違って、日本人(東アジア系、ざっくりですが)は、要注意です。
まず、アルコール代謝の基本的な仕組みを。アルコールは主として肝臓で→アルコール脱水素酵素(ADH1B)の働きによってアセトアルデヒドになり→そのアセトアルデヒドがさらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きによって無害な酢酸に変わります(最終的に水と二酸化炭素になり、体外へ排泄されます)。
この2つの酵素、とりわけアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きによって、お酒が強いか/弱いか/ぜんぜん飲めないか、が決まってくるんですが、日本人(しつこいですが、東アジア系)はお酒に弱い人(低活性型)が全体の約40%、まったく飲めない人(不活性型)が約4%、存在するのです。欧米人(しつこいですが、ヨーロッパ系やアフリカ系)には、この、お酒に弱い人=低活性型や飲めない人=不活性型がほとんどいません(なんと!)。なんだかんだ言って、この事実はとても重要なポイントかもしれません。つまり、日本人は体質的にお酒の弱い人と飲めない人を合わせると44%(日本武道館でのイヴェントに10,000人集まったとするとそのうち4,400人)もいるわけで、その44%を考慮に入れる(あるいは、入れないわけにはいかない)がゆえに、大手メーカーは完全ノンアル=0.00%の製造にこだわり続けているのかもしれないのだから。そのような公式アナウンスは(ぼくの知る限り)ありませんが、そのように考えると、たしかに腑に落ちます。
ちなみに、ぼくは活性型です。飲めます。強いよ、と豪語するほどではないけど、けっこういけます。けっこう飲めてしまうからこそ、一時期はアルコール依存症になりかけていたのです。いや、なりかけていたんじゃなくて、なっていました。ただ、病院に行ってないだけで。もし行ってたら、依存症と診断されていたと思います。苦笑。
はい、話を元に戻します。本稿のタイトルに戻ります〜「アルコール0.5%をどう考えるか?」。
以下は、日本人の約56%(一応、多数派)の方に向かって......いや、この際だから、弱いけれど飲めなくはない方(レモンサワー1、2杯程度なら飲んでも問題ない方......低活性型40%の半分はこのタイプと勝手に想定して)にも向けて......書きます。
かつてお酒をふつうに嗜まれていた方、あるいは現在も時にはお酒を嗜まれている方なら、0.5%の微アルコール飲料を前にして、それほど神経質にならなくても良いのでは? というのが、ぼくの考えです。勘違いしないでいただきたいのは、いくら飲んでも大丈夫、とは言ってませんよ。たとえ0.5%のものであれ、毎夜半ダースも飲んだら、それはやはり、マズいでしょう。コーラやジンジャエールなどの加糖炭酸飲料を毎日3リットルも飲んだら、マズいのと同じです。
あと、もう一つ言っておきたいのは、医師が「アルコールはダメですよ」とおっしゃる時の「アルコール」って、おそらくは法律上の「酒類」のことなんじゃないですかね? 微量のアルコール分のことまでをも指しておられるんでしょうか? つまり、ハーゲンダッツのラムレーズンやキムチも食べてはいけない、とおっしゃっているんでしょうか? 本稿の最初に「主治医の指示に従ってください、みたいなことは書かない」と書きましたけど、そこは前言撤回します、ぜひ主治医に尋ねてみてください。
個人的な話ですが、ぼくは2020年1月に断酒した時に、法律(酒税法)を基準にしました。つまり「アルコール1%以上のものは摂取しない、それ以下ならOK」と心の中で決めました。そのおかげで、ぼくは欧米産の美味しいノンアルコールビール(主にエルディンガーAFなので、0.38%)を嬉々として嗜むことができ、ちっとも苦しまずに、あっさりとお酒をやめられました。そして、今も1%未満のものを嬉々として飲んでいます。
とはいえ、当時の飲食店(実は現在も、ですよね)には、その「欧米産の美味しいノンアルコールビール」がほとんど置いてなくて、その点ではとても苦労したのですが......。ま、それがMARUKUをはじめるきっかけになったんですけどね。
おっと......思っていた以上に長くなってしまった。今回はこのへんで失礼します。
次回は、「0.5%を飲んだら、アルコールチェックに引っかかるのか」をテーマに記したいと思います。
Cafe MARUKU店主・小説家 桜井鈴茂