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Spacial Talk : feat. Keiichi Sokabe (4)

ミュージシャン・曽我部恵一 ✖︎ 小説家・桜井鈴茂
飲むこと / 飲まないこと。その先の話。
【第4回】

撮影:川畑里菜
インタビュー・構成:松まさる

 全4回にわたってお送りしてきた曽我部恵一と桜井鈴茂のスペシャル対談。20年来の盟友だからこそ時に赤裸々に語り合い、時に表現者としての姿勢の違いも垣間見えた対談も今回がラスト。この対談が行われた2020年6月末はコロナ禍真っただ中。世界規模の未曽有の厄災が起こる中、一人の人間として、表現者として2人は何を思い、何を考えていたのか――?

ソロ名義の新曲「Sometime In Tokyo City」も出して大満足なので、もう4、5年作んなくていいかなって(笑)(曽我部)

 

――お二人とも今年の4月、5月のコロナ禍真っただ中、曽我部さんは「カレーの店・八月」の立ち上げ、桜井さんは「MARUKU」の立ち上げで多忙な日々を過ごしていたと思うのですが、その期間中にお二人はどんなことを考えて過ごしていたのでしょうか? 曽我部さんは5月8日にリリースされた「Sometime In Tokyo City」で「夢の中の友だちよ またあの場所で会おう きみの名前は知らないよ ぼくの名前も知らないだろう」と、いつか自分が会うかもしれない次の仲間の話、未来の話、未来への希望を歌っているような気がしました。

曽我部:なるほどね、あれいいですよね。今年はサニーデイ・サービスのアルバム『いいね!』を5月22日に出して、ソロ名義の新曲「Sometime In Tokyo City」も出して大満足なので、もう4、5年作んなくていいかなって(笑)。あんまり満足しない方なんですよ、僕、仕事に対しては。でも、もういいかな、引退しようかなあなんて(笑)。

――まじですか?(笑)そんな。

曽我部:いや、ほんとに。それぐらい思ってるんですよ。なんかね、旅行したいっす。

桜井:「Sometime In Tokyo City」よかったよね、電車の中で泣きそうになった。おれはなにを考えて過ごしてたかな……次々と目の前に現れる障害物をひたすらクリアしてたってだけのような(笑)。

曽我部:桜井くんはコロナのこと全く心配してなかったから(笑)。「いや、なんともないでしょ、これ」とかずっと言ってた。

桜井:いや、心配してなかったわけじゃないけど、まあ、意識低い系ではあったね(笑)。曽我部くんの仕事はライヴってのがあるから、大変だったんじゃない?

曽我部:ツアーが全部飛んだり大変だった。僕が大丈夫だと思っても、メンバーとかお客さんとかはそうじゃない人だったり、いろんな考え方の人がいるから。すごく難しい問題。いまだに何も解決してないけど、今はそういう状況の中で動いていくしかない。

曽我部恵一

人間社会ってのは折れ線グラフを描きながらもちょっとずつは良くなってるんだって思うようになった(桜井)

 

桜井:不謹慎かもしれないけど、コロナ以前は良き世界で、コロナという酷いものがやってきた、っていう感覚はないんだよね、おれ。もとに戻りたいかっていうと、ぜんぜん戻りたくないもん。

曽我部:でも、完全にもとに戻るだろうね。

桜井:まったく同じようにはならないんじゃない?

曽我部:いや、完全に戻る、2年ぐらいで。余裕で戻るよ。それが人間のパワーだよ。会社出なくても自宅で仕事できます、じゃあもっとヨーロッパのように夏季休暇もちゃんと取って、残業もしなくていいよってみんなの意識がなると思うじゃん? だけど、絶対戻る。それが人間の愚かさ、かつ通常営業なとこ。ハグとか普通にしてるよ、イエーって。

桜井:東京一極集中だったのが、少しは違う方向に行くんじゃないかと思うけど。

曽我部:人間って学習しない。そこがいい。

桜井:いやいや、学習してほしいなー(笑)。このコロナ期間の直前に『サピエンス全史』を読んだんだけど、人類とか人間社会って、折れ線グラフを描きながらではあるけど、長いスパンで見れば、ちょっとずつは良くなってるんだって思ったよ。

曽我部:何がよくなってんの?

桜井:だってさ、例えばだけど……ゲイの人たちにとっては昔より多様性が認められる今のほうが良き時代だよね。「古き良き時代」なんてなかった、というか、幻想だとおれは言いたい。

――なるほど、すごい肯定的でいいですね。

曽我部:僕が知ってる中では、桜井くんが最も楽観主義な人だから。

――桜井さんの小説もどこか明るいとこがありますもんね。

桜井:今、すばらしい世界に生きてる、なんてちっとも思わないよ。ただ、過去にすごく良き時代があって、それに比べて今はひどい、とは思わない。あくまでも、折れ線グラフを描きながら、つまりアップダウンを繰り返しながらだけど、ほんのちょっとずつは良き世界になっていってる、って思ってるだけ。

人間が一番になってからは、もうずっと終末ですよ(笑)(曽我部)

曽我部:僕はほら、真逆の考え方で。深沢七郎みたいに人間っていうのは存在してること自体が全ての悪だと思ってるから。だから、人間が弱くて象とかに踏み潰されてた時代、それが古きよき時代ですよね。人間が一番になってからは、もうずっと終末ですよ(笑)。

桜井:はははは。それはね、ぼくも同感です、人間がどうしようもない存在だっていうのは。

曽我部:自然がどうのこうの言ってるけど、結局自然を破壊してるのは人間だし、生き物やたまに人間を殺しながらも、飯がうまいとか言って暮らしているわけだから、それは悪だよね。

桜井:言わんとしてることはわかる。

曽我部:ものの見方の違い。ゲイの人たちの人権は昔より上がってるよね、と物事を具体的に見るか、もっと観念的に捉えるかっていう違いかと。桜井くんはいつも一つ一つのことを具体的に見ている。僕はあくまで観念的に、というか妄想的に。だから、桜井くんのその発想はすばらしいと思う。佐野元春の音楽を聴いても、そういうものを感じる。今日も生きていくべき何かがあるっていう前向きなメッセージ。僕はジョイ・ディヴィジョンの音楽。明日、多分死のうっていうね。

桜井:おれ、ジョイ・ディヴィジョンも好きなんですけどね(笑)。

曽我部:あれ、おかしいな(笑)。その前向きのパワフルさが桜井くんの作品を生むので、すごく大事なことだと思う。

桜井:ありがとう。

今回の小説は物語の内容とコロナ禍が起こっている世界の現実があまりに違いすぎて、いつになく書くのがきつかったなあ(笑)(桜井)

 

――最後に、お二人の現在の活動と今後のことをお聞かせください。

桜井:おれは今、双葉社の文芸Webマガジン「カラフル」で、素人探偵を主人公にした長篇『探偵になんて向いてない』を連載中です。もうすぐ最終回だけど、この小説の内容と、コロナ禍が起こっている世界の現実があまりに違いすぎて、いつになく書くのがきつかったなあ(笑)。年明けには単行本として刊行できるかなと。

——ECサイト「MARUKU」には、桜井さんたちがセレクトしたオリジナルのアソートもあるんですよね?

桜井:あります。飲料だけじゃなくて、オリジナルTシャツなんかも販売してます。今後も、飲酒に代わるオルタナティヴなライフスタイルをいろんな形で発信していきたいなと。お酒を飲まなくても案外と楽しくやれるもんだよ、っていうことを伝えていきたいですね。いっぱしの大人たるものお酒を飲んでナンボ、みたいな考え方も依然としてあるじゃないですか。そんなことはないんじゃない? そういうふうにいつのまにか思い込まされてるだけかも? と敢えて疑問を投げかけたいね、あまのじゃくなぼくとしては(笑)。それから、引き続き、水曜の夜にCCCで、Low Alcoholic Bistro「MARUKU」を営業していきます。ECサイトで取り扱っているノンアル飲料と美味しいタパスを用意しています。誤解されることも多いので、改めて言っておきますが、アルコールも、ビールとワインだけですが、ちゃんとメニューに入ってます。お酒を飲む/飲まないの選択肢は当然あるべきなので。飲みたい人は遠慮せずにがんがん飲んでください(笑)。

曽我部: 僕は、サニーデイ・サービスの今年出たアルバム『いいね!』と、さっきの言ったソロ名義の「Sometime In Tokyo City」が出てますんで、是非聴いていただければ。

桜井:「Sometime In Tokyo City」はフィジカルで出ないの?

曽我部:出てない。アルバムにしたいんだけどね。あれ15分だから、アルバム片面にしか使いようがないから。

桜井:いいんじゃない? あの曲を片面にして、もう片面に5曲。

曽我部:そう、その片面用に今ずっと作ってる。まあ、発表は何年先になるかわかんないけど。それと、僕も小説を書いてるんだよ。太田出版の『ケトル』っていう雑誌で。桜井くんに小説のこと、いろいろ聞きながら。

桜井:最近は聞かれる頻度が減ったけど、最初の頃は曽我部くんに偉そうにアドバイスとかしてたね(笑)。

曽我部:うん、どうしていいかわかんなくてね。書き始めると、何が良くて何が悪いのかがわかんなくなってくるよね。

桜井:良い/悪いってそもそもなんなの?とか考えちゃう。

曽我部:結局、書き手の気持ちとか想いとか、書きたいことが入ってるかどうかが大事なのかな。

桜井:おれはわりと形式重視……というか、まずはちゃんとした器を作ろうって心がけてる。ちゃんとした器さえできあがれば、あとは作者の生き方とか普段考えてることは、自然とその器に入ってくる。そんなふうに信じてるところがあります。

―本日は、いろんなお話をきかせていただきありがとうございました。

曽我部恵一(そかべけいいち)
1971年8月26日生まれ。乙女座、AB型。香川県出身。
90年代初頭よりサニーデイ・サービスのヴォーカリスト/ギタリストとして活動を始める。
1995年に1stアルバム『若者たち』を発表。'70年代の日本のフォーク/ロックを'90年代のスタイルで解釈・再構築したまったく新しいサウンドは、聴く者に強烈な印象をあたえた。
2001年のクリスマス、NY同時多発テロに触発され制作されたシングル「ギター」でソロデビュー。
2004年、自主レーベルROSE RECORDSを設立し、インディペンデント/DIYを基軸とした活動を開始する。
以後、サニーデイ・サービス/ソロと並行し、プロデュース・楽曲提供・映画音楽・CM音楽・執筆・俳優など、形態にとらわれない表現を続ける。
http://www.sokabekeiichi.com/
桜井鈴茂(さくらいすずも)
1968年4月23日、札幌市の天使病院にて出生。石狩郡当別町で育つ。明治学院大学社会学部卒業。同志社大学大学院商学研究科中退。バイク便ライダー、カフェ店員、郵便配達員、スナックのボーイ、小料理屋店長、水道検針員など、さまざまな職を経たのちに、『アレルヤ』(朝日新聞社/2002年、双葉文庫/2010年)で第13回朝日新人文学賞を受賞。著書に『終わりまであとどれくらいだろう』(双葉社/2005年)、『女たち』(フォイル/2009年)、『冬の旅』(河出書房新社/2011 年)、『どうしてこんなところに』(双葉社/2014年)、『へんてこなこの場所から』(文遊社/2015年)、『できそこないの世界でおれたちは』(双葉社/2018年)。現在は、双葉社の文芸webマガジン「COLORFUL」http://www.f-bungei.jp にて『探偵になんて向いてない』を連載中。 ハーフマラソンとDJと旅と猫とノンアルコールビールを愛好。
公式サイト http://www.sakuraisuzumo.com/
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